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東海道五十三次之内シリーズ 初版・ 後版(異版)比較 |
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品川・日之出 初版
「お江戸日本橋七つ発ち・・・・・・こちゃ高輪夜明けて提灯消す〜」
暗いうちに日本橋を発ち、朝焼けの品川宿に入ってゆく大名行列
の最後尾を描いています。ひざまずいて送る宿場役人の後ろに
は桜の名所御殿山が迫っており、目の前には江戸湾が広がって
います。
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2. |
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品川・諸侯出立 後版
大名行列が後ろの方まで続き、間に鉄砲持ちも加わっています。
手前の舟の帆柱がずいぶん高くなり、遠くの舟も増えています。
海面と街道や崖の暈しを手抜きして木立ちもべた塗りで、全体が
平面的で立体感に乏しくなってしまった。
さらに副題も「日之出」から「諸侯出立」に、版元印も「仙鶴堂・保
永堂」から「孫竹」に変っています。 |
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6. |
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戸塚・元町別道 初版
旅籠の前で馬から勢いよく飛び降りる男と、たった今着いたばかりの女性の旅人を迎える宿の女性を描いています。大山講中などの木札が下がっているので、「こめや」さんは良心的な宿なのだろう。
向こうの橋のたもとには「左かまくら道」の道標が立っている。 |
6. |
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戸塚・元町別道 後版
初版が馬から飛び降りる旅人を描いているのに対し、これから馬に乗ろうとしている男の姿を描いています。
ほかに、宿には格子が付いており、遠くの山の形、川向うの家の屋根や周囲の木、藪の様子が変わっています。
遠くの空に浮かぶ雲や地面の模様が消え、全体が明るくなっている。
版元印は「鶴喜竹孫」から「孫竹」に変わっている。 |
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10. |
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小田原・酒匂川 初版
手前には川越の様子が描かれ、遠景には麓に難攻不落の小田
原城も見られます。大きく赤で描かれている箱根外輪山は、旅人
を遮るかのように迫って来ます。東海道の難所として知られた威
容が如実に描かれていて、富士山らしい山陰も見えています。
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10. |
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小田原・酒匂川 後版
山の形が大きく変わってしまっています。全体が平坦になり、迫 りくる急峻な箱根のイメージが失われてしまっています。近景では 川越人足の数が増えています。副題印も変わっており、版元印に は「孫竹」も加わっています。 |
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54. |
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大津・走井茶店 初版
茶店の前にこんこんと湧き出る清水・走井の脇で、魚屋が商品を冷やしている。街道には荷を積んだ牛車が京を目指している。東では荷物の運搬に馬が使われるが、京では牛が使われていた。遠くには黒い逢坂山が描かれている。 |
54. |
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大津・走井茶店 後摺
背景の黒い山が消えている。後摺りのため省略されたのだろう。
絵のバランスとしては、山がある方が良さそうに思うけれど・・・。
副題印と版元印は同じようだ。 |