保永堂版 原・朝之富士

朝早く、原宿を出て間もなくの東海道。湿原で鳴く鶴の声に足を止め振り返る母娘の一瞬の仕草を描きとっている。
原宿は広大な浮島沼と美しい松原に囲まれた細長い洲にあり、気候温暖な土地柄です。この辺りからの富士の眺めは素晴らしく、どこからでも雄大な富士を満喫することが出来ます。広重は、この素晴らしい富士に圧倒され、富士の頂を枠外にまで突き出して描きました。
さすがに天才です。この絵は広重の代表作の一つとされていますが、北斎の「凱風快晴・赤富士」と対比されて広重の穏やかな作風も評されています。