隷書版 沼津        

 

この絵は駿河湾の海上から見たアングルで描かれています。画面の上半分に雄大な富士山と愛鷹山を、手前に松原と浜を配しています。
右手に見えるのは沼津城。広重は沼津城を唯一この隷書版でのみ描いています。天守閣のないお城なので、絵の対象に成り難かったのでしょうか。沼津人としては、やはりお城の絵が欲しかったですが・・・。
千本松原は、北条氏との合戦の折り、竹田勝頼によって伐採されてしまったそうですが、増誉上人によって再び植林されたとのこと。
手前の浜で作業をする村人は、製塩中なのでしょうか。駿河湾沿いの浜では塩作りが盛んだったようで、信玄ゆかりの「塩の道」が残っています。