狂歌入り東海道 原          

 

富士と愛鷹山を正面に、柏原の立場でしょうか。富士は左右対称で周囲に雲をたなびかせて美しく、雄大です。
街道には三軒の茶屋があり、その前を旅人が通り過ぎてゆきます。武士、商人、村人、空馬を引く馬子などおりますが皆休む様子はありません。平らなところでは休まず、少しでも先を急いでいるのでしょう。各種旅行案内書には、三島から府中(静岡)までは足弱でも歩けと書いてあったそうです。
このシリーズは、広重の東海道物としては二作目で省略が少なく、どれもみな好評です。