行書版 沼津・名物鰹節を製す 

 沼津周辺の駿河湾では今でも鰹がよく獲れるので、江戸時代に鰹節を作っていたことは容易に想像されます。店先で男が忙しく鰹節を干しており、その脇で娘が赤子を背負っている。人物東海道の沼津の絵にも同様な図柄が描かれています。
店の前には、ごぜ(盲目の芸人)が三人通り過ぎようとしており、これを抜け参りの子供が眺めている。
浮島沼の向こうには愛鷹山が描かれており、その後ろに見えるはずの富士山は描かれておりませんが、沼津宿西部の様子と言われています。
行書版の版元は江崎屋吉兵衛で、「沼津」の左にある「江吉」の刻印があるのは初期のものだそうです。